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2010年8月2日コミュニティ・グループの経験共有ワークショップを実施しました

2010年8月2日、ディリ市内で「コミュニティ・グループの経験共有ワークショップ」を実施しました。これは、昨年後半に複数の農村で実施した「農村ワークショップ」の結果を各コミュニティにフィードバックする意味も含めて企画したもので、現地の協力NGOであるKSIが全面的に準備・運営を担ってくれました。

今回のワークショップに参加したのは、10のコミュニティ・グループから合計23人。農村ワークショップを実施したのが6コミュニティ、それ以外の関係性から参加に至ったのが4コミュニティです。参加者のほとんどが男性でしたが、女性も3コミュニティから4人の参加となりました。

先の「農村ワークショップ」で見えてきた農村のニーズの大半は、道路・水道・電気などの基本的インフラ、教育や医療などの社会サービスに関するものだったということは、すでにご報告しました。そうした事実もみなで共有しながらも、今回のワークショップでは「コミュニティ・グループの自立のために何が必要か」というテーマ設定の元、それぞれの経験や知識を共有しあうことを目的としました。

自己紹介、トップバッターは緊張…。

まずは、参加者一人ひとりから簡単な自己紹介とこのワークショップへの期待(意気込み)を表明してもらいました。別の参加者と知り合いになれること・話ができること、他のコミュニティグループの経験談を聞けること、新しい知識を得ること、情報共有による自身の(コミュニティ・グループでの活動の)モチベーション向上、将来的な地域間の協働の可能性……などなど、最初は恥ずかしがっていた参加者たちですが、KSIの名ファシリテートのせいか、意見を出すことに徐々に積極的になっていく様子が見られました。

そして、各コミュニティ・グループの代表者からグループの簡単な説明と現在行っている活動の紹介。それぞれの地域性をベースに進めてきた活動があり、関与(支援)する団体も異なります(KSI、オルター・トレード・ティモール[ATT]、互恵のためのアジア民衆基金[APF]、それ以外の現地NGOなど)が、そうした点も含めて、参加者全員に情報が共有されました。どの参加者も、自分たちのコミュニティとの類似点・相違点を探しながら、注意深く耳を傾けていた様子が印象的でした。

模造紙にどんどん書き出してみよう!とKSIスタッフからアドバイス。

続いて、その発表をもとに、1. キオス(村の小さな商店)運営・貯蓄プログラム、2. 大工・木工仕事・ハウジングプログラム、3. 農業・コーヒービジネス、4. 養鶏・魚の養殖・食品加工、と活動内容ごとに参加者を4つにグループ分け。

  • なぜグループ活動に興味をもち、参加したのか?
  • なぜその活動が重要だと思うか?
  • コミュニティグループがいま直面している問題や課題は何か?
  • その問題・課題を克服するにはどうしたらいいか?

という4つのポイントについて、それぞれの意見を出し合うグループディスカッションが進められました。KSIのスタッフが1~4のグループをくまなく周り、ディスカッションに慣れていない参加者たちの意見も上手く引き出していきます。

各グループの発表に真剣に耳を傾ける参加者。

昼食をはさんで、午後はグループディスカッションの成果を、全4グループの代表者がプレゼンするところからスタート!活動に関連する具体的な問題・課題はもちろん色々出されましたが、すべてのグループからあがったのが、グループ活動の運営の難しさについて。個人では達成できないことができるというメリットがある一方で、どうやってメンバー全体の意識をまとめていくか、に苦労している様子が伝わってきました。それに対して、コミュニティ・グループとして一定程度の活動歴をもつ参加者からは、メンバーの間の透明性やグループの資産管理が重要であり、そのためにブックキーピングは必須事項だとのアドバイスが出されていました。

最後は、各コミュニティ・グループに戻って、いま自分たちのグループがどういう段階にいるのか、「自立」に到達するためには、何が必要か、をディスカッションです。KSI側からは、ピラミッドを段階別に区切ってみて、「頂点=自立」に至るまでの具体的な道筋を見えやすくするようにアドバイスが。こうした、考えの整理の仕方も、参加者にとっては、真新しく、大きな学びとなったようです。

各コミュニティ・グループによる発表を聴き、最後に今日のワークショップのフィードバックや感想などを挙げてもらいました。

  • 今日のような議論の場は、とても役に立つ。今後も違うコミュニティグループが学びあえるような機会をたくさんつくってほしい。定期的に続けてほしい。
  • 他の参加者の人の経験から多くを学ぶことができて、本当にうれしい。
  • (鶏の病気の対処法など)自分たちが課題として抱えていることへのアドバイスをもらえて助かった。
  • 同じ(ココナツオイルづくり)活動をしているけれど、経験や知識などを自分たちより持っているミエルタさん(ワークショップの参加者)に、自分たちの地域に来てトレーニングをしてほしい。APLAには、そのサポートをしてほしい。
  • それぞれのグループの活動の成果を物々交換/地域いちば、のような形で流通できないか?

などなど、前向きな感想や意見が出されました。

最後に、KSI代表のネタさんがまとめてくれたように、今回のワークショップでの経験や知識の交流・共有が、今後の各グループの活動に有効に生かされることを心から願います。そして、今後もつながることで、それぞれのコミュニティ・グループが「自立」のステップに到達できるように、APLAとしても可能な限りの側面支援をしていきたいと考えています。

報告:野川未央(のがわ・みお)