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2017年2月1日研修第7期生たちを迎えて

2016年8月からカネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)では、第7期生3人の研修が始まっています。全員が農村部出身。家族の収入の大部分はサトウキビ農園で働いて得たものです。ほとんど自家消費にまわりますが、家の畑では米や野菜、様々な種類のバナナや果物を植えています。町から離れた山の上に家がありので、車が入れず、市場に野菜などを売りに行くときには、カラバオ(水牛)で運んだり、担いで持っていきます。

KF-RCにやってきた当初は皆とてもシャイで、おとなしかったのですが、寝食共に過ごしていくなかで、だんだんと打ち解けていきました。初めは自己管理ができなかったり、スタッフの言うことを勘違いするときもありました。料理もできませんでした。常にスタッフがサポートし、適宜話し合い、ときには注意もします。彼らの個性を知るために必要に応じて親にも連絡を取っています。これらの経験を通じて、半年の研修の間にお互いに理解が深まっていきます。

スタッフと一緒に畑で作業する研修生たち

スタッフと一緒に畑で作業する研修生たち

 

研修生たちは、家庭の事情でハイスクールを卒業していません。今後も就職して働くことは難しいでしょう。研修生のひとりは、首都マニラに運送業の手伝いとして働きに出ましたが、うまくいかずに地元に戻ってきて家の畑やサトウキビ畑で働きました。そんなときにKF-RCのことを家族や地域の人から聞き、有畜複合循環型農業を自分の畑でも実践しようと、KF-RCの研修へ参加することを決めました。

研修では、家畜の世話や糞尿の使い道、化学肥料との違いを理解していきます。土づくりや、苗を育て、種取りもして、その大切さも学び、自然の循環や自然環境を守っていくことが農家にとってどれほど大切なのか体得していきます。農場にやってくるお客さんと対話しながら自分が育てた野菜を売ることで自信にもつながってきました。農場での共同生活をしていくなかで、責任感や仲間の大切さも学んでいきます。

研修生たちは、将来自分たちが地域に戻り、教える側になれるよう努力しています。研修中にわからないことがあれば質問しノートに取ります。5ヶ月が経ち、以前と比べると質問の内容は具体的で注意深くなったように思います。

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第7期研修生の3人

第7期生の3人は「豚や鶏など多くの種類の家畜を育てながら、農業をやっていき、家族を支えていきたい。そしていつかは畑を広げ、その地域の農民仲間の模範となり、自分の生産物をたくさん販売したい」と話しています。しかし、学んだ多くのことや経験を卒業後に自分の畑でどう生かすかは彼ら自身です。

3人のうち2人は15歳と16歳で、まだ幼く、「卒業後に自分自身で畑の計画を作り、実行していける」、「立派に自立していける」とは言えません。もう1人は27歳で、しっかりしていて自分で畑を管理していけそうです。色々な計画を実行してくれることを期待しています。そういった点では、KF-RCは彼らが卒業をしたあとに、それぞれに合ったフォローアップが必要です。学んだことを具体的に実践していけるように、家族とも適宜連絡を取り合い、寄り添っていきたいと考えています。

報告:エリマー・トグハップ/KF-RC事務局長

手書きの原稿

追記:新しくKF-RCの事務局長になったエリマー(エムエム)くんがこの報告を届けてくれました。8年前、第1期研修生として農場にやって来た時は、とてもかわいかった彼も、最近では貫禄が出てきた様子。手書きで作成した原稿を、facebookのメッセンジャーでテキストを打ち込み、日本に届いた報告です(吉澤/APLA事務局長)