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2011年10月19日~20日淡水魚の養殖についてのトレーニングを実施

「コーヒーだけに頼らない地域づくり」として、地域内で需要があるものを生産することで収入を多角化していく試みに着手したエルメラ県のコーヒー生産者グループ・Fitun Caetano(フィトゥン・カイタノ)のメンバーたち。自分たちの力で、コミュニティ内に養殖池を造成してきたのですが、養殖については経験や知識も少なく、不安を抱えていました。そうしたなかAPLAとATTがファシリテートし、水産局の現場スタッフとしてエルメラ県で農民をサポートしてきたロウレンティーノさんと彼の指導で10年近くにわたって淡水魚の養殖を続けてきたフィロメノさんに手取り足取りのトレーニングをしてもらうことになりました。

まずは自己紹介から(手前がフィロメノさん)。

10月半ば、Fitun Caetanoメンバーのうち5人がフィロメノさんの池を訪問。1泊2日・泊まり込みでのトレーニングの様子をご報告します。

まずは、Fitun Caetanoのメンバー5人、トレーナーの2人、そしてファシリテーターとして参加したATTスタッフのルシオがそれぞれの自己紹介。5人は、自分たちのコミュニティでなぜ魚の養殖を成功させたいか、どうやって池を造成したか、などを説明。

水の通り道をつくる。

その後、さっそく実践スタート。池を掘ることだけとっても、実は色々なポイントがあることを学びます。

  • 標高が高く気温が下がる地域では、太陽光が届き、十分な水温が保てる池の深さとして70cmを目安にする。そのうち40~50cmまで水を入れること(Fitun Caetanoのメンバーたちの村は標高が高い山の中)。
  • 池の中を平らにすること。障害物により、魚の往来をじゃましないように。
  • 池の中に水の通り道をつくること。水の入れ換えや魚の収獲時に水を放出するときに、スムーズになる。また、親魚が繁殖する場所にもなる。
2日目は、魚のエサになるプランクトンやバクテリアを発生させるために乾いた牛の糞を利用するやり方の実演から。細かく砕いた牛糞を掘り終えた池の中にまき、水を半分ほど入れる。そのまま2~3日放置させ、様子を見て残りの深さまで水を入れるとのこと。

牛糞を細かく砕く。

砕いたものを池にまく。

さらに、将来的に繁殖していくことを見越して、メスとオスの見分け方も伝授してもらう。ちなみに、まずは育てやすいikan nila(ティラピア)から養殖してみることになりました。

「先生」2人を真ん中に集合写真。

トレーニングに参加したメンバーからは「たくさんの具体的なことを学べて、とても充実したトレーニングだった」「早く自分たちのコミュニティでも実践したい」との声。Fitun Caetanoのメンバーたちが稚魚の放流を開始する前には2人の「先生」たちにもコミュニティに来てもらい、再度色々なアドバイスをもらいながら、養殖を進めていきたいと考えています。

 

このプログラムは、公益財団法人トヨタ財団より「2010年度アジア隣人プログラム助成金」を受けて実施しています。

報告:エルサ・ピント、翻訳まとめ:野川未央(のがわ・みお)