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223号(2014年3月+4月)【コラム】小商い開店中(5)岩田珈琲店

北海道から瀬戸内の離島へ
船着場に着いた荷物を配達する堀田さん。

船着場に着いた荷物を配達する堀田さん。

山口県・祝島で暮らす堀田さんご夫妻と2人の息子さんの4人家族を訪問しました。堀田さん一家は、約450人が暮らす祝島で、コーヒーの焙煎をしながら、水産物の加工、ヒジキの収穫など、島内の色々な仕事を引き受けています。また、島への移住者を中心に立ち上げた「島の何でも屋さん」として、草刈り作業などにも参加。最近では、船着場に着いた荷物を配達するアルバイトもしています。

北海道・札幌からの移住を決めたきっかけは、2011年3月11日に発生した東日本大震災の後に観た、祝島を舞台にしたドキュメンタリー映画でした。ちょうど、お子さんたちが自立する前までに自然環境の良い場所に移り住みたいと考えており、瀬戸内海に浮かぶ小さな離島の様子にすっかり魅了されたそうです。

同年の夏、福島に住む子どもたちの一時避難の手伝いに関わり、そこから縁が生まれて、祝島への移住を検討しはじめた堀田さん一家。その後、2012年3月に島を下見し、4月には引越しが完了しました。

札幌時代からの珈琲店のコンセプトは、“おいしく楽しく”
コーヒー豆の焙煎中。

コーヒー豆の焙煎中。

年齢やタイプは様々ですが、楽しいことが大好きなお客さんたちが集まる岩田珈琲店。コーヒーを通じて、お客さんと交流できることが何よりで、お客さんと楽しい関係を結ぶことがモットーだそうです。

2014年3月には、カフェもオープン予定で、祝島の住民はもちろん、島外から訪れた人にも気軽に入ってもらえて、美味しいコーヒーをみながら楽しいひとときを過ごせるお店づくりを目指しています。

また、島の産品や移住者仲間による手作りパンもメニューに加わる予定で、祝島のアンテナショップを構想しています。さらに、バーテンダーだった移住者仲間と一緒に、夜は本格Barに変身予定だそうです!

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堀田さんご夫妻より。

初めての街を離れての暮らしですが、意外と不便なく、楽しんでいます。海を眺める毎日は、とても心地よく、同時に刺激に満ちています。ちいさなコミュニティーの中で、暮らしに実感が伴っていることが新鮮です。ご近所から畑の野菜を頂いたり、漁師さんから魚を頂いたり、自分でもアジを釣ったり、日々の食生活に人とのつながりが濃厚に感じられます。台所で流した水はまっすぐ海に流れるので、排水問題が目の前にあって、街で暮らしていた頃には無かった意識が芽生えました。原発の問題もテレビで見る社会問題ではなく、まさに目の前(注)で起こっています。賛成派と反対派で地域の人間関係が裂かれたことに、改めて悲しみを強く感じます。原発という側面ばかりから語られがちな祝島ですが、ここに暮らす人たちは、とても魅力的です。少子高齢化の進んだ島の中で、高齢の方との交わりが劇的に増えて、島のおじちゃん、おばちゃんたち(70~80才オーバーでも島では「おじちゃん」、「おばちゃん」と呼びます!)のパワフルな姿を見て、自分が老いることに対してネガティブな印象が全く無くなった気がします。 ここは、希望を見出せる場所でもあるのです。島に来たことで、生きることがまた少し楽になった気がしています。

注:祝島の対岸、わずか4キロ先で上関原発の建設が計画されている

 

まとめ:名和尚毅(なわ・なおき/ATJ)

岩田珈琲店
山口県熊毛郡上関町祝島644-2
電話:0820-66-2550
HP:http://copacabana.petit.cc/0engine/tokyo_bbs.cgi

みなさんは「小商い」という言葉を聞いたことがありますか?『小商いのすすめ』(2012年、ミシマ社)の著者である平川克美さんは「自分の手の届く距離、目で見える範囲、体温で感じる圏域でビジネスをしていくこと」だと説明しています。グローバル化によって、一握りの大企業が世の中を席巻する昨今、私たちの身の回りには、誰がどこでどのように作ったかが見えにくいモノがあふれてきています。その裏では、環境破壊や資源を巡る争い、遺伝子組み換え作物の急増も。この事態を変えていく鍵が「小商い」にあるかも…!と考え、その実践者にお話を聞きます。