読みもの

手わたしバナナくらぶニュース

2016年3月+4月No.235 「手わたしバナナくらぶニュース」から「P to Pニュース」に生まれ変わります!

「フィリピン・ネグロス島の山の中に生えているバナナを日本で買う。そのことでネグロスの人たちの生活を応援できないだろうか?」

1980年代、そんなシンプルな、けれども壮大な夢から生まれたバランゴンバナナの民衆交易は、安心安全なバナナを食べたい、という沢山の方たちの支持を得て、広がり、これまで続いてきました。そして「手わたしバナナくらぶ」は、日本ネグロス・キャンペーン委員会の応援者をはじめ、グループでバランゴンバナナを購入してくださる方たちのための会員制宅配システムとして、民衆交易開始からすぐに始まりました。

届ける方は、山の中からお父ちゃんたちが切り出し、お母ちゃんたちがワイワイと箱詰めする連携作業。受け取る方でも、5キロや10キロの箱で届いたバナナを「手から手へ」仲間に分ける作業を経て、食卓に届きました。

0号(1990年1月発行)

0号(1990年1月発行)

そのバナナと一緒にお届けしてきた「手わたしバナナくらぶニュース」は、1990年1月に0号を発行。その表紙は、少し緊張した面持ちのバナナ生産者が箱詰め作業所の前に並んで立っている白黒の写真に「私たちの村からお届けします!」という言葉で飾られています。手書き文字が混ざる初期の頃のバックナンバーを読み返すと、産地の生産者の写真と一緒に、「カビが生えていて食べられなかった」、「届いたときは青くて3週間目にようやく食べられた」といった会員さんからの声も毎月のように掲載されており、バランゴンバナナの民衆交易を試行錯誤しながら進めていた時代の様子を垣間見ることができます。

バナナ以外の仲間も登場!

その0号から13年、2003年7月からは、隔月に変わり、大きく模様替え。バナナの他にエビやコーヒーの交易も展開されてきたことにあわせて、そうした商品にまつわるストーリーや生産者の紹介など、紹介する内容もどんどん広がってきました。

特集 235(4)

159号(2003年7+8月発行)

ここ数年の特集記事を振り返ってみても、バランゴンバナナ以外に、チョコレート(インドネシア・パプア)、エコシュリンプ(インドネシア)、コーヒー(東ティモール、ラオス)、オリーブオイル(パレスチナ)といった色々な商品や産地の紹介だけでなく、APLAがネグロスで進めてきているカネシゲファーム・ルーラルキャンパスの活動、生産者と消費者の交流企画、フィリピンの農地改革のこと、そしてTPPや遺伝子組み換え問題について、などなど、多岐にわたるテーマをなるべく読みやすく、わかりやすく伝えるように紙面を作ってきました。民衆交易の産地の文化・風習を紹介するコラム、日本国内で民衆交易商品を一緒に広めてくださっている方たちについて紹介するようなコラムなど、毎号、編集委員で工夫を凝らしてきたつもりですが、いかがでしたでしょうか?

People to People(人から人へ)

そして、今号235号をもって、26年間にわたって発行してきた「手わたしバナナくらぶニュース」の幕を閉じることになりました。……といっても、皆さんと「さようなら!」というわけではなく、来月より「P to Pニュース」と名前を変えて、毎月発行するための準備を進めているところです。

「P to P」ってなぁに?と思われた方も多いかもしれません。これはフィリピン・ネグロスの民衆交易の仲間たちがつかっている言葉で「People to People(人から人へ)」の略です。前述の通り、これまでの「手わたしバナナくらぶニュース」でも様々な民衆交易の商品や生産者のこと、産地の文化や直面している課題などをお伝えしてきましたが、今後はさらに多くの方に民衆交易の魅力や意義、ひろがり・つながりについて知ってもらえるように、ATJとAPLAのスタッフでさらに面白い紙面づくりをしていくつもりです。私たちの想いを120%くんで、いつも素敵なイラストとデザインに仕上げてくださる石岡真由海さんのお力も引き続きお借りしつつ、読者の皆さんが「友だちに読んでもらいたい!」「誰かに手わたしたい!」と思えるようなニュースを発行していきたいと考えていますので、どうぞお楽しみに~!

野川未央(のがわ・みお/APLA)