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手わたしバナナくらぶニュース

2013年11月+12月No.221 バナナ募金から生まれた新しいつながり

2011年11月より開始した「福島の子どもたちに届けよう バナナ募金」は、これまで、国内外からたくさんの募金をいただき、福島の幼稚園・保育園にバナナを届けることができています。子どもたちが少しでも安全な食べものを食べられるようにとスタートした取り組みですが、この活動を通して、ただバナナを届けるだけではなく、少しずつバナナ募金に関わっている人びとのつながりをつくることができています。

子どもたちや先生たちとの交流
あすなろ保育園にて

あすなろ保育園にて

今まで、子どもたちからたくさんの「ありがとう」をいただきました。APLA事務所には毎週のように心のこもったお手紙が届き、バナナが届くたびに電話をくれる先生もいらっしゃいます。直接訪問したときは、元気な声で歌やダンスを披露してくれ、「もっとバナナ食べたい」と先生にお願いしている姿も目にしました。
おやつやデザートに活躍するだけでなく、柔らかいバナナは、子どもたちが包丁を使う練習になるそうです。デザートにも大活躍。乳児保育をしているところでは、離乳食にも使えるとのこと。震災から2年半が経ち、日に日に福島に対して関心を持つ人や支援物資が少なくなっていくなか、変わらずにバナナが届くことへの感謝の言葉をいただきます。
2013年10月現在、バナナを届けている幼稚園・保育園の数は20施設(注)。地域によって放射線量は違うので、子どもが少なくなっているところ、反対に待機児童がいる程、子どもが戻ってきているところと差が出てきているようです。保護者の間でも、放射能に対する考えが違うといいますが、どの親も子どもたちのことを思ってのこと。「元気に育てたい」という気持ちは一緒です。先生たちも、除染作業をしなければならなかったり、線量が高くない場所を探してお散歩しなければならなかったり、これまでの保育以外にも気を使うことが増えてしまいました。それでも、訪問のたびに、先生たちの保育に対する熱い想い、子どもたちへの変わらぬ愛情に触れさせてもらっています。

バナナのワークショップ
子どもも先生も夢中なバナナワークショップ

子どもも先生も夢中なバナナワークショップ

交流を進めるなかで、「バランゴンバナナについて子どもたちに伝えられたらいいね」という話があがりました。そこで、聖セシリア女子短期大学の先生と学生さんたちにバナナのワークショップを創作してもらい、幼稚園2ヵ所と学童1ヵ所で開催したのです。子どもたちだけでなく、先生からも「へ~」という驚きの声が。ワークショップを終えたあとは、一緒に踊ったダンスや歌が頭から離れずに口ずさんでいる子、「おうちに帰ったらお母さんに話してみる」と言う子、「ぼくたちがバナナを食べることで、フィリピンの子が学校へ行けるの?」と質問をしてきた子も。バナナのことを知るだけではなく、自分たちがバランゴンバナナとどう関わっているのか、それぞれが何かを感じ取ってくれていました。バナナのワークショップは今後も続けていきたいと思います。

バナナ生産者との交流
「バナナおいしいね」生産者のジェームスさんと一緒に。

「バナナおいしいね」生産者のジェームスさんと一緒に。

2013年9月、来日したバナナ生産者たちと一緒に、保育園を訪問。生産者たちは、福島の現状を知るとともに、実際にバナナを食べている子どもたちとの交流をしました。子どもたちも、バナナをつくっている生産者と直接会うことができて嬉しかったようで、たくさん質問が出ていたのを覚えています。以前、フィリピンで福島の話をしたとき、「頑張っておいしいバナナをつくらなきゃ!」と話す生産者がいましたが、子どもたちとの交流の様子やこのような言葉から、生産者のモチベーションも上がっていることを感じました。

カラバオ(水牛)の歌をみんなで歌いました

カラバオ(水牛)の歌をみんなで歌いました

バナナを届け始めてから2年間。間に立つ私たちのみならず、少しずつですが、生産者とも顔の見える関係が築けています。また、変わらず募金をしてくださっている方がたからいただく温かいメッセージを幼稚園に届けていると、バナナ募金を通じて色々なつながりができていると実感します。
福島の現状がなかなか改善されないなか、バナナ募金の力は微々たるものかもしれませんが、バナナ生産者、募金や活動に協力してくださる方がた、福島の子どもたちがお互いのことを知り、学び合えるそんな関係性を大切に築いていきたいと強く感じる日々です。これからも子どもたちを見守り、バナナを届けたいと考えていますので、皆さまからの引き続きのご支援・ご協力を心よりお願いいたします。

赤石優衣(あかいし・ゆい/APLA)

注:バナナの発送は毎週ですが、週毎に配送可能な重量が決まっているため、各施設には不定期で送っています。

バナナ募金の詳細については、http://www.apla.jp/activities/fukushima-japan/bnn-bokin をご覧ください。