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手わたしバナナくらぶニュース

2014年9月+10月No.226 パレスチナ・ガザからの声

2014年7月21日、明治公園で開催したキャンドル・アクション

2014年7月7日にイスラエル軍がガザ攻撃を開始して1カ月。連日の空爆や地上侵攻によって犠牲者は増えつづけ、パレスチナ人の死者は1869人、負傷者は1万人近くにのぼっています(国連人道問題調整事務所、8月7日付)。イスラエル側にも市民3人を含む67人の死者が出ているとはいえ、1869人のうち子ども423人を含む1380人が市民であり、学校や病院などを含む民間施設を狙ったイスラエル軍による攻撃は、ジュネーブ条約や関連する国際法に違反する戦争犯罪であり、決して許されるものではありません。

このような無差別攻撃による殺戮が一刻も早く終わりを迎えることはもちろんですが、APLA/ATJがつながるオリーブオイルの生産者、そしてパレスチナの人びとが望むことは、長年続いている占領が終わりを迎え、安心して生き生きと日常生活を送れる日が一日も早く訪れること。それは現地から届いてくる切実な訴えです。

占領下で生きるということ、封鎖の意味

行政拘禁されたファラージさんの釈放を求めるポスター

イスラエルには、政府が“危険人物”とみなした一般市民を令状も裁判もなしに拘束することができる法律があり「行政拘禁」と呼ばれています。拘禁の理由は開示されず、6カ月と定められている拘禁期間も、更新によって無期限延期が可能という基本的人権を完全に無視した制度です。今回のガザ攻撃の直前の段階で、350人以上のパレスチナ人がこの制度により拘禁されていました。オリーブオイルの出荷団体であるパレスチナ農業開発センター(UAWC)の職員であるファラージさんもその一人であり、自らの人権を求め、行政拘禁制度の廃止を訴えて、文字通り命をかけた長期のハンガーストライキを行いましたが、そうしたパレスチナの現状についてマスメディアでは全く報道されていません。

行政拘禁という占領下の人権弾圧に限らず、2007年から続くガザ地区の封鎖によって、市民の暮らしは様々な困難を強いられていました。想像してみてください。東京23区の6割程度の面積に、約180万人の住民が暮らし、人の往来や物資の搬入は厳しく制限され、ガザの人びとの8割以上が国際機関の配給する食料に依存せざるを得ないという状況。常に栄養不足の子どもたち。漁師なのに自由に漁ができない、自分たちで食べるものを耕す土地もない、仕事をしたくても仕事がない、そんな大人たち。

遠く離れていても、オリーブオイルを通じてパレスチナとのつながりを持っている私たちにできることは、きっとあるはず。停戦合意の後、パレスチナの人たちの「日常」が戻ってきたとき、目に見えやすい戦争犯罪が姿を潜めて国際社会からの関心が低くなってしまうときにこそ、「私たちはパレスチナのことを忘れていない」という連帯のメッセージを様々な形で伝えつづけることが必要だと考えます。

私たちにできること

以前オリーブオイル生産者のイスマエルさんが「日本の皆さんがパレスチナのオリーブオイルを選んで使ってくれているということが私たちを前向きな気持ちにしてくれているのです」と語ってくれたように、買うという行為を通じて、パレスチナの人びとを応援することができるのではないでしょうか。

また、同じ消費行動でも、イスラエル政府の行為に「ノー!」の姿勢を示すためのボイコット運動への参加も一人ひとりができることです。お金の流れを変えることで、世界を変える、という運動でBDS(注)と呼ばれていて、イスラエルによるパレスチナの占領、人びとへの数々の人権侵害を終わらせるために、2005年にパレスチナの市民団体によって呼びかけられた国際的なキャンペーンです。

映画『自由と壁とヒップホップ』公式ウェブサイトより

パレスチナのことを周囲の人に知らせることもできるかもしれません。たとえば、パレスチナを色々な角度から伝えてくれるドキュメンタリー映画も数多くあります。最近のオススメは、2013年12月に日本でも劇場公開となった映画『自由と壁とヒップホップ』。パレスチナのヒップホップ・ミュージシャンが音楽を通じて伝える占領下のパレスチナの<リアル>を感じられます。映画の中でDAMのマフムードが語っていた「壁の前では自分が小さく感じる。高さじゃなく、背後でこの壁を支える強大な力のせいだ。壁を前に世界が沈黙しているせいだ」という言葉にどう応えることができるのかを考え続けている今日この頃です。

野川未央(のがわ・みお/APLA)

注:B=Boycott(ボイコット)、D=Divestment(投資の撤収)、S=Sanctions(経済制裁)の略。現在は、STOP!ソーダストリーム・キャンペーンなどが展開されています。

UAWCとパレスチナ農業復興委員会(PARC)では、住居や生活基盤を失ったガザの人びとに対して、緊急支援活動から入って持続的な復興に向けた支援活動を展開していきます。現地からの要請を受けて、ATJ/APLAでは募金を呼びかけていますので、ぜひご協力をお願いいたします。詳細は、http://www.apla.jp/archives/3864をご覧ください。