絵本を共同出版したらくだ舎出帆室と、「絵本『バナナのらんとごん』で学ぶ、民衆交易とフードロス」というテーマで、愛知県名古屋と和歌山県紀南地方で連続イベントを開催しました。
名古屋でのイベントは10月18日に2カ所で行いました。まずは、コーヒーを通じて人と人がつながる拠点となっている「街と珈琲」にて。1部では、絵本を読んでバランゴンバナナが日本に届くまでのストーリーをお伝えし、2部では大人と子どもが分かれて、大人向けにバランゴンバナナの背景と民衆交易のトーク、お子さん向けに規格外バナナを観察しながら絵を描くワークショップを行いました。「街とコーヒー」で、イベント用に特別に作ってくださった規格外バランゴンバナナを使った「バナナ焼き」も評判がよかったです。
2カ所目の会場は、思考の幅を広げるため、選択肢を増やすため、社会とつながるための本屋「TOTEN BOOKSTORE」。「搾取から連帯へ。食べ物で繋がる世界、バナナから見えること」と題したトークイベントを開催しました。「TOTEN BOOKSTORE」では、9月末から原画展とバランゴンバナナについて説明したパネル展示を行っていたこともあり、興味関心を持ってくださった方が数多く集まってくださいました。バランゴンバナナの背景を説明した後に、絵本の文を担当したらくだ舎出帆室の千葉貴子さんから絵本に込めた思いや制作の裏話もあり、充実した内容の会となりました。
トークイベントに際し、同じ名古屋市にある「顔のみえる店~FAIR TRADE 風”s(ふ~ず)」さんによる、規格外バランゴンバナナを使ったバナナブレッドやバナナカレーパンをはじめ、フェアトレード商品の販売コーナーも設置。カレーパンが売り切れるほどの人気でした。
和歌山県に移動して、らくだ舎を訪問。「食べ物から世界を見る。バナナ・砂糖・チョコレート・オリーブオイル」というテーマで、バランゴンバナナをはじめ、らくだ舎で取り扱ってくださっている民衆交易品の背景をお話しました。ご近所の方をはじめ、普段かららくだ舎とつながりのある様々な世代の方が集ってくださり、とても熱気のあるトークイベントとなりました。その日は「色川×ぽこぽこバナナ・シカカツバナナカレー」が登場。規格外バランゴンバナナを使った「ぽこぽこバナナカレー」に獣害対策のため捕獲された鹿肉のカツをのせた特別メニューです。規格外バランゴンバナナを使ったスムージーもあり、おいしいを楽しめるイベントでもありました。
パレスチナのオリーブオイル生産の状況、バナナ生産者の販売用の作物と自給用の作物の生産のバランスについて、「粗放養殖」で環境を守りながらエビを育てている方法など、たくさんの質問が寄せられました。参加者の皆さんの多くは農業に携わっている方ということで、同じ農業者として、パレスチナのオリーブ生産者の土地への思い、エコシュリンプ生産者の「土地は子孫から預かりもの」という考えに強く共感されていました。また、絵本『バナナのらんとごん』出版プロジェクトのクラウドファンディングにご支援をいただいた方が多かったので、改めて感謝を伝えることができたのもよかったです。絵本を買ってくださった方を対象に「規格外バランゴンバナナ詰め放題」も実施。予想以上に盛り上がりました。
イベント以外に、小学校でもバナナのお話をする機会をいただきました。1カ所目の那智勝浦町立色川小学校では、1年生から4年生の10名ほどのお子さんと先生にお話をしました。さらに、今年4月に開校したばかりの探究型グローカル小学校「うつほの杜学園小学校」(和歌山県田辺市)も訪問。地域に開かれた放課後の授業であるアフタースクールで、1年生から3年生のお子さんと先生、保護者、近所の方に向けてお話しました。こちらの学校は、今年夏のサマースクールで規格外バランゴンバナナを扱った授業をしてくださり、そのご縁で訪問させていただきました。両校とも、バナナクイズをしたり、規格外バナナの活用法のアイディアを出してもらったり、子どもたちと活発なやり取りをしながら、バランゴンバナナがどのように日本に届くのか、なぜ規格外となってしまうのかなどを説明しました。子どもたちからは、バナナの皮を使ってバッグを作る、動物に配ってあげるなど面白いアイディアが出ました。
絵本『バナナのらんとごん』を多くの方に伝えたい・広めたいという思いで、連続イベントを企画しましたが、私自身、絵本を通じて多くの方と出会い、直接声を聞くことができ、たくさんの力をもらうことができました。背景を伝えながら絵本を届けていくのは時間がかかりますが、それこそが重要で、私たちらしい伝え方だと思いますので、引き続き、“絵本ツアー”を行っていきたいと思います。絵本を使ったトークイベントなどにご関心がある方は、お声がけいただければ幸いです。
報告:福島智子(ふくしま・ともこ/APLA事務局)

















