WHAT'S NEW?

オレンジワインづくり2年目を終えて、大躍進のGATAMIR

「自分たちの地域にも柑橘類がたくさんあるから、フィリピンから教わった方法でつくってみよう!」と女性たちが中心になって動き始めたのが、2年前のこと。昨年2013年には、GATAMIR(ガタミル)女性メンバーによるオレンジワインづくりは、大きな成果をあげました。

これまでは、一山いくら(1ドルにも満たないことも)という形でしか売れなかった柑橘を、村の人が大好きな(笑)お酒にすることで、付加価値をつけて売ることができるとあって、当初から大きな期待もありましたが、継続的に協同作業をするという経験があまりなかった村の女性たち。最初の一年は、メンバーがなかなか揃わず一部の人だけが作業することになってしまったり、「売るためには味見しないと」という名目でメンバーの家族で消費してしまったり、と課題だらけでした。それが一転したのが、2013年6月に開催されたイベントに参加して得た外部の人からの大きな評価(詳細は過去の報告をご覧ください)。ここから、女性メンバーたちのスイッチが入ったのでした。

エルメラ県の柑橘類の収穫シーズンは、コーヒーとほぼ同時期の5月頃から始まります。小さめのオレンジやザボンのような大きな柑橘など、いくつか種類があり、年にもよりますが、9月頃には一段落といった感じです。グループの作業は毎週土曜日。クループメンバーやコミュニティ内で買い付けた柑橘類を持ち寄って、きれいに水洗いするところから作業がスタートします。電気が通っていない村なので、果汁を搾り出すのも絞り器をつかって一つひとつ手作業で進めます。その果汁を鍋で煮立て、砂糖とイーストを混ぜ、ボトルに詰めて、作業は完了です。ここから1ヵ月~1ヵ月半発酵させて、ワインが完成。評判を聞きつけた人たちがその出来上がりを待つウェイティングリストにずらり…という状況が11月まで続いていました。

オレンジワイン1

まずは水洗い。

オレンジワイン2

搾った果汁を濾す。

オレンジワイン3

果汁を煮立てます。

 

その結果、メンバーが出資した合計115ドルでスタートした2年目のシーズンは、オレンジワインの販売利益として245ドルを計上することができました!そこから、自分たちのコミュニティで実施した水源保全プロジェクトの経費にカンパもしました。また、もうひとつの大きな成果として、グループが主体的に決断して実行したことがあります。それは、メンバーを対象にした信用貸しです。当初は、「この利益で日用品などの共同購入をしたい」といった意見も出ていたのですが、コストや労力などと天秤にかけて検討した結果、今の自分たちにその力はない、と判断。その代わりに、2014年のシーズンが始まる5月までの間、急ぎのお金が必要なメンバーに対して、合計328ドルになったグループのお金を貸し付けることを決定したのです。

GATAMIR

グループ会議でリーダーから貸付状況の報告。

東ティモールの村では、一般的に、お金を借りたときの利息は100%(たとえば、100ドル借りたら、200ドルにして返す!)という決まりがあります。それに対して、GATAMIRでは、メンバー全員での話し合いを経て、利息を10%に設定しました。このルールに沿って、信用貸しを開始してからこの3月で4カ月。子どもの学費や用事があってディリに出かける際の交通費など、「少額でも必要なときに自分たちのグループから低い利息でお金を借りることができて助かるし、とてもうれしい!」とメンバーが口を揃えて報告してくれました。

三年目は、生産したワインをエルメラ・コタやディリなどのお店でも売ってもらえるように、品質の安定化や衛生面の向上をめざしたい、と意気込むGATAMIRの女性メンバーたち。引き続き、ご支援いただければ幸いです。

報告:野川未央(のがわ・みお/APLA事務局)