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2025年10月20日〜25日世界中からパーマカルチャー実践者が集合!IPYC 2025

今年も東ティモールでのキャンプの季節がやってきました。今回はインターナショナル・パーマユース・コンバージェンス(IPYC)との名前の通り、東ティモール国外に対しても正式に参加者を募り、全部で17カ国から人びとが集まりました。国外からは約100名、東ティモール国内各県からの参加者と合わせて総勢800名ほどが参加したと聞きます。

オーストラリアに本部を置くPermatil Globalが世界中から参加者を募りました。

 

CはcampのCではなく、 convergence(集合・統合)のCになっており、基本的には、東ティモール国内の参加者は過去にパーマユース・キャンプ参加の経験がある人たち、国外からの参加者はすでにパーマカルチャーやローカルフード保全、環境保全、有機農業などの分野で活動・実践をしている人たちが集まり、多様なワークショップを通して経験や知識を共有するなかで学び合うという形でした。テーマごとのグループに分かれての実践ベースの学びが基本となっていた昨年までのキャンプに比べると、つながりづくりや共有(シェア)に重点を置いているようです。キャンプのCではなくなりましたが、キャンプ生活は変わらずです!

早朝に起床し、整列。朝の運動とゴミ拾いが毎朝の日課でした。写真は、APLAのメンバーほかエルメラからの参加者など。

 

今年のテーマは 「Planting water, growing communities – 水を植え、コミュニティを育てよう」というものでしたが、水源保全、堆肥作り見学、マッシュルーム栽培見学、ローカルフード、発酵食品作り、沿岸部での環境保全、アグロ・フォレストリー、シードボール(複数種の種入り粘土団子)作り、コーヒー栽培と協同組合、パーマカルチャーと教育(若者・子どもに対してのアプローチ)、自然染色、各地でのパーマカルチャー実践に関する共有など、実に多様なワークショップが用意されていて、各参加者は毎回自分が気になるワークショップに参加できました。

土壌への雨水の貯水についてレクチャーを受けているところ。

 

今回APLAが参加を支援したのは東ティモールからは7名、西ティモール(島の西半分でインドネシア領)は4名です。 APLAが長年活動を続けているエルメラ県からの参加者は、特に若い女性の3人が積極的に動いていたのが印象的で、うち1名は英語でのコミュニケーションにも積極的に挑戦していました。コミュニティのファシリテーター、アグスさんの娘であるイヴォニアさんは今年度よりインターンとしてAPLAの活動に参加しており、今回のIPYCでも調整や特に若い女性参加者のケアに積極的にあたってくれました。参加者とは別にコミュニティから女性のメンバーであるアグスティニャさんも訪れ、キャンプ地内のブースで地産品の販売を行ったほかパイナップルの発酵酒作りについてのワークショップを担当しました。

テントのそばで交流する東西ティモール参加者。

APLAが一緒に活動してきたエルメラ県内のコミュニティが作った地産の加工品を販売。

 

各地の実践報告は、インド、インドネシア(ジャカルタ近郊、西ティモール)、オーストラリア、台湾などからあり、西ティモールからの参加者のリーダーとし昨年に続き参加したアルフレッドも、西ティモールでの自身のパーマカルチャー実践と拡大への試みを共有しました。同じく昨年はAPLAの支援で西ティモールより参加したレクシーは、今年はパーマティルに招待されボランティアとして参加していました。

1番大きなテントに集合し、交流や学びの共有を行う東西ティモール参加者。

終始、綿密なメモをとっていた西ティモールからの参加者。IPYC終了後、学びを振り返り「パーマカルチャーの実践を続けることが自分の道だ!もっと実践的に学びたい」とメッセージをくれました。

 

私自身は、あちこち動き回り調整や確認、通訳などのサポートに動くことが多かったのですが、非常に印象的な言葉があります。米国からのパーマカルチャー実践者・教育者によるワークショップでの「パーマカルチャーとは何も農業に限ったことではない。途切れていたもの(disconnected)を繋げる(reconnect)こと、それがパーマカルチャーの本質だ」という言葉です。途切れていたものは、人と人、人と大地・自然、国や地域など、さまざまなものが当てはまるでしょう。私自身IPYCを通して、途切れていたものが確かにつながったと感じています。昨年からAPLAが試みを続けている国境線によって即ち植民地主義の遺産によって隔てられている東西ティモールを人と人を通してつなげること(今年の西ティモール参加者には1999年に西ティモールに逃れ、そのままアタンブアに住むこととなったエルメラ出身者もいます)もそうですし、紛争によってオーストラリアに移住した元東ティモール国籍者や東ティモールにルーツを持つ海外の人もいました。アジアと欧米、国と国の違いによる隔たり、人種による隔たり、言語による隔たり、都市生活による自然との隔たり、さまざまな途切れていたものがつながったのではないでしょうか。もちろんこのつながりを守り続けるためには忍耐と努力も必要です。

パーマティル代表のエゴ・レモスさんと東西ティモール参加者ほか。

ローカルフード保全に取り組んでいる西ティモールからの参加者から、彼の所属団体発行のローカルフードについての本を受け取るAPLAティモールのスタッフとインターン。

 

今年のIPYCを通して、APLAの役割は人と人をつなげる、非常にパーマカルチャー的な働きであるとも強く感じることになりました。

報告:松村多悠子(まつむら・たゆこ/APLA事務局)

 

この活動は、公益財団法人りそなアジア・オセアニア財団 からの環境助成ならびに支援者の皆さまからの寄付によって実施しました。