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2013年8月~9月アグロフォレストリー導入に向けた第一歩を踏み出しました!

これまでもコーヒーだけに頼らない地域づくりのために様々な取り組みを続けてきましたが、今年度は、アグロフォレストリーの導入に向けて準備を進めています。アグロフォレストリーとは、多様な植樹を植栽し、その中で家畜や農作物を飼育・栽培する農林業の形をさし、持続可能な環境保全型の農林有畜複合農業として、その重要性が認められてきています。

コーヒーとそのシェードツリーが土地の大半を占めている東ティモールのエルメラ県で、コーヒー生産者たちの自給や地場流通用の果実類や薪材用の樹木を植樹することで、プランテーション型のコーヒー単一栽培から持続的な農林業の確立をめざします。同時に、世界的な気候変動の影響なども考えて、今後さらに重要になってくる森林保全や水資源保全にもつなげていきたいと考えています。

8月末、東ティモールの代表的なミュージシャンであり、環境活動家としても精力的に活動しているエゴ・レモスさんの協力で、エルメラ県のコーヒー生産者グループに対してアグロフォレストリーを紹介するセミナーを開催しました。さらに、コーヒー生産者が暮らす地域(エルメラ県エルメラ郡、レテフォホ郡、ハトリア郡にある5コミュニティ)を訪問して、コーヒーの畑の中や周辺の地形・気候・土壌などの調査もおこないました。どんな種類の樹木が適しているか、どのような形で作物の多様化を進めていけるか、という点を探るためです。

「“アグロフォレストリー”という言葉は初めて聞くものかもしれないけれど、考え方そのものは本来、東ティモールにあったもの」とエゴさん。

「“アグロフォレストリー”という言葉は初めて聞くものかもしれないけれど、考え方そのものは東ティモールに元々あったもの」とエゴさん。

生産者と一緒にコーヒー畑を歩き、地形や気候を観察しながら、どんな作物を植えるのが適しているかを調査。

生産者と一緒にコーヒー畑を歩き、地形や気候を観察しながら、どんな作物を植えるのが適しているかを調査。

乾期に水不足が深刻なコミュニティにて。地域の水源である泉の周辺に樹木がほとんどないことを指摘。水がめとしての森の役割を説く。

乾期に水不足が深刻なコミュニティにて。地域の水源である泉の周辺に樹木がほとんどないことを指摘。水がめとしての森の役割を説く。

 

まだ電気が通っていない地域。発電機を持ち込んで、簡易のスクリーンを設置し、有機農業に関する映画を上映しました。

まだ電気が通っていない地域。発電機を持ち込んで、簡易のスクリーンを設置し、有機農業に関する映画を上映しました。

また先日(9月末)は、インドネシアの東ジャワ州にあるコーヒーカカオ研究所(ICCRI)から、コーヒー栽培に関する専門家を招聘し、前述の5コミュニティで、生産者たちが所有するコーヒーの畑を観察し、様々なアドバイスを受けました。主なものは、あまり手入れがされないまま古くなった木を蘇生させる方法、そして収穫量を増やすための接ぎ木の技術についてでした。前者は、カットバックという風に呼ばれますが、地面から30~50cmくらいのところで幹を切り落とすことで、翌年以降に新しい芽が生えてきて育つようになります。このカットバックについては知っている生産者も多いものの、「コーヒーの木を切る=翌年の収穫量が減る」と考えて、躊躇してしまう人がほとんどでした。しかし、今回その意味についてきちんと説明を受け、「躊躇する気持ちは吹き飛んだ」というコメントが多く聞かれました。後者の接ぎ木については、どのコミュニティでも「初めて学ぶ技術だ」と、専門家の方の実演に真剣に見入っていました。接ぎ木の技術は、コーヒーだけでなく、今後増やしていきたい柑橘類やマンゴー、アボガドなどにも応用できるということで、しっかり習得して活用していくことが望まれます。

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コーヒー畑での実演の前に、まずは概要についての説明から。

実際にメンバーが所有するコーヒー畑にみんなで移動しての実演。

実際にメンバーが所有するコーヒー畑にみんなで移動しての実演。

カットバック(古くなった木を切り落とす)を実演するヌルコリスさん。

カットバック(古くなった木を切り落とす)を実演するヌルコリスさん。

接ぎ木の技術について習った後に、メンバー自身も挑戦。

接ぎ木の技術について習った後に、メンバー自身も挑戦。「見聞きするだけでなく、やってみないとね!」

 

一連のプログラムを受けて、コーヒー生産者の中にもやる気が芽生えたもよう。とはいえ、一朝一夕ではいかないことは明らかです。遠く険しい道のりの第一歩を踏み出した彼・彼女たちの取り組みを、日本からも応援いただければ幸いです。

余談ですが、今回訪問した5コミュニティは、同じエルメラ県内とはいえ、どこもかなりの「辺境」に位置しています。でこぼこ山道を車で2~3時間もかかるので、移動だけでも一苦労。コーヒーが日本に届けられるまでの生産者や現地スタッフたちの苦労を改めて肌で感じることとなりました。

報告:野川未央(のがわ・みお/APLA事務局)

※このプログラムは、地球環境基金の助成を受けて実施しています。