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小学校でバナナの授業をしました

2019年度、横浜市立瀬谷第二小学校6年4組の総合の授業をAPLAとして担当させてもらいました。1回目の授業は、「バナナの国フィリピン」と題し、フィリピンの文化、バナナの流通、バナナを取り巻く環境や健康問題などを伝えました。2回目は、フィリピン・ネグロスからテレビ電話をつないでの授業。3回目は、貿易ゲームを通じて、モノの流通や貧困について伝える授業をおこないました。

3回目の授業のアクティブラーニングはAPLAでも初めての試みであったため、今後の改善点はありますが、面白い結果と学びがあったのでご報告します。

今回取り入れたアクティビティは、バナナの「貿易ゲーム」です。各グループが地域別の生産者たちであると仮定して、それぞれにバナナを生産するための道具が入った袋を配ります。その道具はグループごとに異なり、色鉛筆しかないグループもあれば、はさみやシールなども使えるグループもあり、元々の道具(資本)の違いにより、その後の生産にも影響を与え、格差が生まれることを体感してもらいます。出来上がったバナナの品質に応じて販売価格にも差が出ます。

・色が塗ってあり、切れている・・・2P
・色が塗ってあり、はさみで切れている・・・100P
・色が塗ってあり、はさみで切れていて、シールが貼ってある・・・200P

 
   
ゲーム中子どもたちからは「こんなのいくら作っても負けちゃうよ!」「あっちのグループはずるい!」などの意見が飛び交っていました。​

ゲーム途中、道具の販売をしましたが、当然買えるのはお金を持っているグループのみ。お金があると道具を増やしてさらに生産性を上げることができ、差は広がります。
1回目のゲーム後、第1回目の授業のおさらいとして、バナナ生産を取り巻く問題や民衆交易について話をしました。そして、みんなが幸せになるにはどうしたらよいかといった疑問を投げかけて2回目のゲームに。

 
 
このアクティビティゲーム、ここで終わりではありません。もう一度同じゲームを試してみます。ルールは同じですが、1つだけ「目的」を変更します。1回目は「より多くの得点を稼いで勝つこと」が目的でした。2回目は、バナナ生産を取り巻く問題や民衆交易の話を受けて、「みんなが幸せになること」について考えてもらい、それを目的としました。

始めてみると、「シール欲しい人~?」「ハサミ安く売るよ!」とグループに必要以上の道具は譲ったり、少し我慢して道具をシェアしたりする子どもたちが出てきました。他には自分たちのチーム分のバナナ生産をできるだけ早く終わらせて、使わなくなった道具を他のグループに渡そうと頑張る子どもたちや出来上がったバナナ自体を交換する子どもたち、さらには新しく道具を購入して他のグループに渡す子どもたちの姿もありました。

その結果、驚きの得点となりました。
       色・・・色鉛筆
       ハ・・・ハサミ
       シ・・・シール

2回目の方がゲーム内容も理解していて要領がよくなったこともありますが、ほとんどのグループが得点を大きく上げ、全体の合計得点にもかなりの違いが出たことが印象的でした。その後の振り返りでは、「想い合えば全体が良くなることが分かった」、「貧富の差を身をもって感じた」、「バナナを購入する際に安いバナナを選んでいたが、そういった意識がフィリピンの生産者の貧しさにつながってしまっていた」などの感想が出て、クラス全体で共有しました。

ゲームではありますが、このような差が出てくることは、まさに世界のモノの売り買いの現場で今起きていることです。子どもたちがそれぞれに考え、多くの意見が出てきたことはとても嬉しいことでした。今回授業で体験したことが子どもたち意識に残り、さらに学校の外でもモノを購入すること、消費することについて考える機会を作ることができたとしたら、APLAとしてこのような活動をできたことに幸せを感じます。

(報告:寺田俊(てらだ・しゅん/APLA事務局)