2025年3月、筑波大学学生の皆さん4名とインドネシア・パプア州を訪問しました。パプアへの研修は筑波大学国際総合学類の海外研修でAPLAと現地のカカオキタ社が実施に協力しており、今年度で2回目の実施となります。滞在10日間のうち、5泊6日を先住民族の人びとが暮らす村で過ごしました。
カカオの産地、ブラップ村
羽田空港をお昼に出発、インドネシアの首都ジャカルタの空港と機内で夜を過ごし翌日の朝にパプアのセンタニ空港に到着。位置的にはほぼ東京の真南にあたるので、日本と時差はありません。パプア州の州都ジャヤプラの町で長靴、サルン(腰布)、食材などを買い揃え、村に向けて出発です。
ブラップ村は、ジャヤプラから車で3時間ほどのところにあり、カリ・ビル(インドネシア語で「青い川」)と呼ばれる美しい川で有名です。現地の言葉では「神からの贈り物」という意味を持つこの川のほとりにあるお家でホームステイをしました。鶏の鳴く声とともに朝が始まり、家のママの手料理で腹ごしらえをしたら活動開始です。村ではカカオキタ社にカカオを卸している協同組合の活動を見学させてもらい、カカオ農園にも訪れました。特に協同組合に感心を持っていた杉原さんは「私の知っている日本の農園とは全然違い、まるで森みたい」と言い、「ブラップ村の人が自然と共に生きていることを感じ、自分自身もその中で過ごせたことが人生において大切な経験となった」と話してくれました。森の中を歩いて、サゴ椰子を見に行き、大きな貯水湖で筏舟に乗る体験もしました。
グループに分かれてのインタビュー調査も毎日の活動でした。教育に関心を持っていた岡田さんと宮川さんは、小学校や教師、保護者や子どもたちからたくさんの話を聞くことができました。子どもたちと過ごしてまるで村の子どものようになっていた飯島さんは、その経験を通して特に歴史についての関心が深まり、調べ出すことになりました。子どもたちは学生の皆さんと遊ぶだけではなく、時には「先生」でもありました。鶏の屠殺、その鶏を洗って捌く作業、身振り手振りをまじえながら教え手伝ってくれました。一日の活動を終えると、家の前のカリ・ビルで水浴びをし、その日の振り返りをする、そんな毎日があっという間に過ぎました。
民衆交易の現場での学び、国境やアブラヤシ農園見学
ジャヤプラではカカオキタ社を訪問しました。会社の成り立ちや生産者と消費者がカカオを通して互いに支え合う民衆交易事業の取組みについての話を聞くだけでなく、チョコレートの製造場所を見学し、併設のカフェでの職場体験も。日本でのアルバイト経験の豊富だった学生のみなさんは、ホールでキッチンで大活躍!現地の日本語教師の方たちの訪問もあり、カフェは大賑わいでしたが、学生の皆さんとカフェのスタッフとで力を合わせて注文をさばき切ることができました。スタッフのリファさんは「日本とパプアでは仕事のやり方も違うだろうけれど、チームワーク良く働き、みんなやる気いっぱいで楽しんでいるようでした」と振り返りました。第1回目の海外研修の参加者で、現地インドネシア国立チェンドラワシ大学に留学中の高羽さんも合流し、通訳やインドネシア語を使った接客を助けました。
異文化の中に身を置き、出会い交流をするなかで、自分の中の「当たり前」との違いについての話を学生のみなさんから複数聞きました。交流から得られる学びの力を信じて、今後も活動を続けたいと思います。
報告:松村多悠子(まつむら・たゆこ/APLA事務局)