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2012年5月9日KF-RC研修生のふるさとを訪問しました

ローワーバイスに広がる棚田

えぐられている狭い凸凹道を四輪駆動車が入れるところまで入り、そこから山道を小半時ほど歩くと、きれいな棚田があらわれました。1990年代終わりに、バランゴンバナナを最初に出荷してくれた地域の一つであったローワーバイスです。しかし、大型台風と萎縮病でバナナが壊滅。ようやくバナナ生産が回復してきて、あらためて生産者組合が形成され、地域自立に向けての取り組みを再開したと聞き、約15年ぶりに訪問しました。

研修生ジョネルとお父さん

その組合員の1家族が、カネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)に2人の息子を研修生に送り出しています。弟のジョネル(22歳)が最初に研修生として来て、今ではKF-RCの養豚部門の責任者です。そして、兄のジョナン(24歳)も現在、養豚を必至に学んでいます。村に戻りバナナ生産をはじめ、養豚を用いて米や野菜のための堆肥生産を行うためです。ローワーバイスは水がありますので、堆肥生産が軌道に乗れば、生産物の多様化と収量の増加が実現できるはずです。しかも、組合員の意識も意欲も高い。近い将来、地域自立のモデルになることは間違いないでしょう。

ローワーバイスから小半時歩いて、アッパーバイスも訪ねました。アッパーバイスは水の確保が難しい面があり、低地ほど作物の多様化は難しいかもしれません。堆肥を用いて品質の良いバナナ生産を進めつつ、バナナだけに頼らない農業をどう実現していくかが課題だと感じます。15年前に泊めてもらった家の女主人は今も元気で、「どうして長いあいだ来なかったのか」と笑いながら叱られました。

バイスは、バナナ生産・出荷と生産物の多様化・拡充のために、オルター・トレード社(ATC)とKF-RCが緊密に連携・協力をしていく地域に決まりました。今後バイスでの経験を踏まえて、両者が連携しての地域の自立に向けての手助けが、他の地域でも展開されていくことになるでしょう。

報告:秋山眞兄(あきやま・なおえ/APLA共同代表)