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2012年7月9日~10日「バナナ募金」、バナナお届け先を訪問してきました。

7月9日、10日に、「バナナ募金」でバナナを届けている南相馬市、二本松市、福島市の保育園を訪問してきました。

南相馬市は、原町聖愛保育園へ。

原町聖愛保育園のみんなが寄せてくれたお礼の色紙

園へ到着すると、お昼寝中だったにも関わらず、年長さんの3人が、お礼の色紙を照れくさそうに持ってきてくれました。「いつもバナナありがとう」と、みんながバナナをイメージして書いた絵を渡してくれました。「バナナは南国のイメージ=ライオン」なんていうユニークな絵を描いてくれた子もいました。「ありがとう」という一言が胸に響きました。
子どもたちがお昼寝しているなかでしたが、そっと、それぞれのクラスを見学させてもらいました。ここにいる子たち一人ひとりがかけがえのない命です。子どもたちが持つ独特のエネルギーがそこにはありました。他のバナナ募金支援先から届くお礼のお手紙にも、子どもたちが笑っていることに励まされ、癒されていると書かれていることがありますが、その意味が体に入ってきました。

窓辺りや壁に設置された水

このペットボトルの写真、なんだか分かるでしょうか。水が放射線を防いでくれるという話を聞いて、先生たちが窓べりに設置されたということです。「どれだけ効果があるかはわからない」という人もいるけど、どんなことでも低くできる可能性があるのであればやっています、と園長先生は話をしてくれました。子どもたちが家に帰ると保育園より線量が高いところがある、せめて保育園にいるあいだは低くしたいと、ありとあらゆるところを除染した話を聞きました。園庭の土を入れ替える、屋根や雨樋の除染はもちろん、園庭の遊具のひとつひとつも除染(トイレの洗浄・除菌剤をぬって、サランラップで密閉し、浮き上がってきたものを雑巾でふき取るなど、聞いているだけで途方もない作業です。室内も、壁も含めてありとあらゆる場所をふき取る……。「除染」という言葉の中にも、どれだけの作業と苦労があるのか……、頭が下がる思いでした。

次は、二本松市の同朋幼稚園へ。

幼稚園のお迎えのときにお母さんたちが集まります

同朋幼稚園を運営している真行寺さんには、私たちが送っているバナナ以外にも全国のお寺から様々な支援が届いています。子どもたちに安全な食べものを届けるため野菜などが送られてくるそうで、お寺で「青空市場」を開催し、幼稚園に迎えに来た親子が野菜を持って帰れるようになっています。私たちが訪れた日には、福井からたくさんの野菜が届いていました。

真行寺の佐々木道範さんにもお話を聞きました。佐々木さんはTEAM二本松というNPOを立ち上げて、市民放射能測定室を設置する活動などをされてきました。福島産の野菜でもセシウムが検出されないものがある一方、やはり小さい子どもを持つお母さんたちは「安心」して食べられないという気持ちがあるといいます。この生産者と消費者の立場の違い以外にも、福島では、いろんな対立が生まれています。夫婦、家族、地域、避難する人・残った人、補償金がもらえる・人もらえない人、浜通り・中通り……。今一緒になって困難に立ち向かわなくてはならないときに、この対立でエネルギーが奪われている状況に佐々木さんは苦悶されていました。なんとか、未来に向けてみんなで一歩を踏み出せないものかと……。

最後に訪れたのは、福島市のこじか保育園。

こじか保育園でも除染状況の話を聞きました。数値が高い遊具は撤去、庭にあった保育園の象徴でもあったケヤキの木や卒園のシンボルだったどんぐりの木は、線量が高く、園長先生の判断で泣く泣く切り倒したとのこと。行政からの支援で園庭は除染はできたものの、建物の2階から降りる階段のコンクリート部分の除染は費用が出ず、海外からの支援と福島市の保育園をつないでいるグループ(ビックキッスプロジェクト)の協力で、人工芝生に変えることができたそうです。
今年度に入ってようやく、小さい子は30分、大きい子は1時間外遊びができるようになりました。小さな子どもが一年以上外に出られないストレスは相当なものです。睡眠トラブルやストレスがたまり、イライラが絶えず、ケンカも多かったそうです。少しの時間でも外遊びができるようになってからは、子どもたちも落ち着いてきたそうです。「バナナ嫌いの子がバランゴンバナナだと食べるようになった」とうれしい話も聞くことができました。

※ビックキッスプロジェクトは、福島市の保育園とAPLAのバナナ募金もつなげてくれました。

聖愛保育園の園長先生が話してくれたことのなかにハッとしたことがありました。それは、「外で遊んでいないから、体がバランスを覚えていなくて、子どもたちも転びやすくなっているのですよ」ということでした。普通に外で遊ぶことが、どれだけ子どもの成長に大事なのかを思い知らされました。心と体がバランスよく育っていくことが大切なのに、その環境が福島の子どもたちから奪われている。当たり前のことができない辛さを目の当たりにしました。
また、子どもたちだけではなく、大人もだいぶ疲れているということ。日常の生活は今までどおり流れる一方、心の中の思いや悩みは口にできないようになっているとのこと。これからは子どもも大人も心のケアが必要になっていきます。
佐々木さんが、七夕の短冊に子どもたちが書いていたことを教えてくれました。「放射能やだ」「おうちに帰りたい」。子どもにこんなことを言わせる社会とはどんな社会なのか……。なんとか子どもを守りたい、子どもが希望を持てる未来をつくりたい。どこの保育園からもその切実な思いが伝わってきました。

報告:吉澤真満子(よしざわ・まみこ/APLA事務局長)

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