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2016年10月8日~13日若手農民交流報告(2) 農場ツアー

2016年10月、フィリピンと東ティモールの若手農民の交流プログラムを実施しました。目的は、お互いの知恵や経験、悩みなどを共有し、将来につながる気づきや学びを得ること。東ティモール・エルメラ県の3人の若手農民が、フィリピン・ネグロス島のカネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)を訪問し、一週間にわたって様々な体験を通して、学び合いました。

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交流プログラム2日目。まずは、農場内を端から端まで一周じっくり見学しました。KF-RCのスタッフにとっては、自分たちの活動を外部の人に説明するのも大切な経験です。豚舎については養豚担当のジョネル、それ以外は事務局長となったエムエムが説明を担当しました。

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あまりに大きな豚にびっくり。

豚舎では、豚の大きさにびっくり!!!の東ティモールの4人。生後3カ月ほどの肥育豚を見て、「ティモールでは2年かけてもこんなに大きくならないよ!」、母豚を見て、「ティモールの牛より大きいかも!」と感嘆の声をあげていました。東ティモールの農村でも豚を育てていますが、種類が違うので(KF-RCで育てているのはハイブリッド種だけれど、東ティモールでは在来種)それも当然のこと。ジョネルからは、餌の配合や交尾の方法などについて詳しく説明を聞き、餌やりは、翌朝体験することになりました。餌についても、東ティモールでまったく同じような餌を手に入れ、豚にやることは無理です。けれども、栄養面でどういった点に気をつけたらいいのか、豚舎を清潔に保つことや飲み水を絶やさないことの重要性など、東ティモールでも活かせることをしっかり書き留めていました。

その後、畑、ラムポンプ(自動揚水機)、養殖池、果樹、水源、カネシゲパーク、BMWプラント……と見学を続けました。その途中、傾斜地で野菜を植えていない場所を見て、簡単に水平なテラスを作れる技術(Aフレーム)があると東ティモールから提案。午後にみんなで実践してみることになりました。ラムポンプについては、技術を普及しているAID財団を前日のうちに訪問して説明を受けていましたが、実際に使っている様子を確認して、改めて興味津々の4人。「電気を使わないで高いところに水を運ぶことができるこの技術があれば、東ティモールの農村でもとっても役に立つのになぁ!導入できたらいいのに……」と東ティモールのマルセロ。まずは仕組みをしっかり知りたい、と、どこからどのように水を引いてきているのか、乾季で水が減った際はどうなのか、など細かく質問をしていました。

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KF-RCのスタッフと研修生が東ティモールの仲間に農場内を案内。

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前日、KF-RCに到着する前にAID財団でラムポンプについて学ぶ。

 

農場を一周した後は、セミナーハウスに戻ってシェアリングの時間。カネシゲファームの地図を見ながら、意見交換や質疑の時間を作りました。東ティモールのマルクスからは、「全体をじっくり見せてもらって、とても素晴らしい取組みだと感じた。一点だけアドバイスを伝えるとしたら、畑で畝を作る方向を変えた方がいいと思う」と、高低差に対して、垂直になるように畝を作ることで、雨水や土壌が低い方に流れてしまわないような工夫が伝えられました。彼自身がこの数年で実践を通して学んできたことです。

また、現在は立派に事務局長をつとめるエムエムが、一期生として最初にここの場所に来てから半年近く、農場を整備するためにどれほど大変だったか、何度家に帰りたいと思ったか、という苦労話をしてくれました。「KF-RCがスタートした当初はAPLAからの支援があったが、この3年は自分たちの給料や農場の運営費も自分たちで稼いでいるんだよ」という話もあり、東ティモールの4人にとっては大きな刺激になったようです。交流プログラムはまだ2日目にもかかわらず、「すぐには難しくても、自分たちもエルメラにいつかこんな場所を作りたい!」という声が東ティモールのみんなからあがっていて、交流のもつ力を早々に実感しました。

報告:野川未央(のがわ・みお/APLA事務局)