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2017年4月4日~9日3カ国若手農民交流(4) コーヒー生産者グループとの交流・その3

2017年4月、フィリピン・ネグロスとラオスの若手農民が東ティモールを訪問しました。テトゥン語(東ティモール)、イロンゴ語(フィリピン・ネグロス)、ラオ語(ラオス)、そして日本語と英語…といくつもの言葉が通訳を介して飛び交いながら、お互いの学びを深めていった一週間となりました。

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交流4日目は、別のコーヒー生産者グループFitun Caetano(ハウプ村リアモリ集落)を訪問。本若手農民交流プログラムの参加メンバーであるマルクスとマルセロが暮らす地域です。エルメラに来た初日は、山道の移動を怖がっていたラオスのメンバーもすっかり慣れた様子で、1時間半の道中も歌ったり、お互いの言葉を教え合ったりと交流を楽しんでいました。

前日同様、タイスで歓迎を受ける

リアモリ集落に到着して、まずはコミュニティセンターで歓迎を受けました。このセンターは、マルクスとマルセロが昨年ネグロスのカネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)を訪問して帰国した後、「KF-RCのように地域の若者たちが循環型農業を学び、実践できる場を自分たちも創りたい!」と、一念発起して、建物の周辺に少しずつ手を入れ始めている場所です。これこそ交流の力、と実感します。

アイスブレークの後、グループメンバーが実験的に進めてきた果実とコーヒーの混植の農園(と言ってもまだ小さな苗の段階ですが)を見学して意見交換し、2015年に保全を実施した水源に向かいました。雨季にもかかわらず、整備した井戸に溜まっている水が綺麗に透き通っていたのは、水源保全の成果の一つです(通常は、雨季には土を含んだ泥水が勢いよく流れ込んでしまうため)。この水源保全活動は直接的な収入にはつながらないけれども、地域の暮らしや環境のためにとても重要であること。都市ではお金を出して水を買うのが当たり前になっている一方で、こうしてコミュニティの水源に注意を払い、大切にしていくことで、自分たちの飲み水を守ることにもつながること、などが話されました。また、昨年、東ティモールのメンバーがKF-RCを訪問した際に水源保全を実施してみましたが、その後発生した課題を共有し、意見交換をすることもできました。

コーヒーと一緒に様々な果実を植え始めた実験農園

コーヒー農園の中をみんなで歩いて水源まで

水源保全活動の意義を確認

「ペットボトルの水よりおいしいよ」

 

リーダーのカルロス

帰り道には、グループのリーダーであるカルロスのコーヒー畑を見学することに。コーヒーの木は、お祖父さんの時代に植えられた古いものですが、3年前にカットバックという方法を学んで実施した畑です。カルロス本人から「カットバックしてから、以前よりコーヒーの葉もイキイキしているし、実も多くつくようになった。自分はグループのリーダーなので、実際に試して効果があることを他のメンバーに示したいと思っている」と力強い説明がありました。

それでも、コーヒーのプロという自負の強いラオスのメンバーたちは「ここの枝はいらない」と、剪定に関して具体的(かつ厳しい)アドバイスをぶつけますが、カルロスをはじめ、Fitun Caetanoのメンバーは半信半疑の面持ち。そこで最年少のタイが、自分のスマートフォンを取り出し、ラオスで自分が管理しているコーヒー畑の写真を見せてくれました。コーヒーの木の剪定や下草刈りなどの手入れをしっかりすることで、コーヒーの収量を上げられるということを伝えたかったタイ。枝にたわわに実ったコーヒーの写真を見て、さすがにFitun Caetanoのメンバーは驚きを隠せない様子でした。「百聞は一見にしかず」とはこのことですね。

自分がしている手入れの方法を説明するカルロス

枝や実の様子をじっくり観察してアドバイスするラオスのメンバー

 

この交流の主な目的には、コーヒーなどの単一作物に頼らない農業の多様化・収入源の多様化を目指す地域のリーダーの育成という点がありますが、収入の柱となるコーヒー栽培の技術向上が大事でないわけではありません。東ティモールのメンバーは、9月にラオスを訪問した際に聞きたいこと・学びたいことが沢山できたようです。

報告:野川未央(のがわ・みお/APLA)

※このプログラムは、公益財団法人トヨタ財団「国際助成プログラム」の助成をいただいて実施しています。