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2018年2月26日(月)「脱原発を決めたドイツと福島について語り合う」開催

会の様子

2018年2月26日、ドイツの脱原発倫理委員会メンバーであるミランダ・シュラーズさんを訪問されたのに合わせて、「脱原発を決めたドイツと福島について語り合う」を開催。福島で再生可能エネルギーの取組みを進める皆さんとミランダさんで、じっくり話し合う機会をつくりました。これまでAPLAと一緒に二本松有機農業研究会のエネルギー自給の取組みを応援してきたアーユス仏教国際協力ネットワークと日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)、そして、ミランダさん講演会実行委員会のメンバーの皆さんも加わり、総勢25人が集まって語り合いました。
はじめに、ミランダさんへ福島の現状を伝えるために、会津電力と飯館電力の取組みを近藤恵さんが、二本松有機農業研究会のソーラーシェアリングまでの道のりを大内督さんが説明。ミランダさんからは、脱原発倫理委員会の経緯や話し合いの過程、その後のドイツの脱原発の歩みと再生可能エネルギーの普及に関するプレゼンがありました。

国民的議論があったドイツの脱原発

脱原発倫理委員会(正式名称:安全なエネルギー供給のための倫理委員会)はメルケル首相が福島の原発事故後に、17名を選んで委員会を設置し、2010年に原発延長を決めてしまっていたドイツの原発政策を見直すために議論を依頼したことに始まります。原発を止めることを決めるとしても、何のためにやめるのか、どれくらいのスピード感をもって廃炉を進めるのかなどが議論のテーマになったそうです。17人のメンバーには、元政治家、様々な分野の学者や、キリスト教関係者が選ばれました。脱原発倫理委員会のレポート作成までのプロセスは、17名の議論以外にも、それを公開して国民的な議論を展開したとのこと(9時間かけてテレビ放送があり、45人の様々な立場の人が発言した)。その議論を踏まえて委員会でレポートを作成し、それを鑑みたうえでメルケル首相自身が判断し、2022年までの段階的な原発停止を決めました。2050年までに電力の80%を再生可能エネルギーから得る政策も決定。同時に省エネも推進することの重要性も語られました。

地域が主体となる再生可能エネルギーの普及

ミランダさん(左)飯館電力近藤さん(右)

ドイツでは2001年にFIT法が導入され、再生可能エネルギーが普及します。各地域が争うようにして、自治体レベルでそれぞれに合った再生可能エネルギーを導入し、また、地域の市民が所有するオウナーシップの形式が多くとられ、草の根からボトムアップで普及していったとのこと。エネルギー協同組合も2001年には66だったのが、現在は約1000もあるそうです。組合が投資もし、雇用も生み出しています。大資本がメガパネルを作るような日本とは違っていて、自然エネルギーの設置を巡る住民との対立はあまり見られないとのこと。また、ドイツでは原発問題だけではなく、温暖化対策としても再生可能エネルギーの重要性が議論されてきています。ドイツの各地方は、エネルギー転換に興味をもっていて、産業革命4.0を支えたい、合理的で循環型社会を創っていったほうがいいと考えられているそうです。この緑の成長が、原発や化石燃料に依存する汚い成長から、美しい成長がもたらすことになると。
ミランダさんからは、日本でも、市民が作る再生可能エネルギーが普及し地域の活性化が進む必要性が投げかけられ、各地でその芽が出ているとも話されていました。日本へ来るたびに地方から豊かさがなくなっていることを実感していて、それを変えていくには、各地域に合った計画づくり(地域プラン)がとても重要とのこと。ミランダさんご自身でも反省していると話していましたが、これまでは再生可能エネルギーのことだけを焦点に話していたけれど、その視点だけではなく、地域発展や雇用創出、技術革新、環境問題など、より大きな絵を語る中でエネルギーのことも語られるべきだと発言がありました。
今バイエルン州では、地域ごとに市民が集まり、2030年までのヴィジョン作りが進んでいるそうです。それをまとめて州へ提出するのだとか。「草の根で議論されたことを政治家たちは無視できないでしょ!」と、ミランダさん。また、ベルリン大学で取り組んでいる試みとして、11~13歳の子どもたちを集めたワークショップを紹介してくれました。エネルギーや環境について考えるワークショップを通じて、子どもたちが将来の自分たちの仕事や、暮らしをよりよくするための技術について学び、自由に楽しく学べる機会を作っているとのこと。将来は明るく楽しい!という実感を持つことが大切とも。このような様々な取り組みの先に、再生可能エネルギーも普及し、より環境に優しい暮らしが作られていくというメッセージを受け取りました。

これからの福島

日本側の参加者からは、日本は原発やエネルギーの話になると経済のことばかりで、倫理の視点がないことが言及されました。その他、福島では、エネルギーのことだけではなく、放射線の問題、汚染廃棄物の問題など様々な課題があります。ひとつのイッシューではなく、多様な問題をつなげて住民が対話し、これからの福島をどうしていきたいかを話していかなくてはならないし、参加した皆さんでも手を取り合って、取り組みを進めたいという声もあがりました。
今回はミランダさんがきっかけで、福島、そして東京や各地域からの参加者が集まりじっくり話をすることができました。これを機に新たな出会いやつながりもできました。各分野、各地域で活動する人たちが、ゆるくつながりをもって、時に力を出し合って関わっていく重要性も見えてきました。

報告:吉澤真満子(よしざわ・まみこ/APLA事務局)