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コロナ禍にも負けず、地域のゴミ回収活動が動き出しています

インドネシア・東ジャワ州シドアルジョ県を中心に環境活動を続けてきたKOIN(注)は、エコシュリンプの養殖池が広がる地域における河川環境の改善のために、2015年度から家庭ゴミの回収システムづくりに取り組んできています。詳細は PtoP NEWS vol.37 をご覧ください。

南スラウェシ州ピンラン県

オルター・トレード・インドネシア社(ATINA)が日本向けのエビを買付けているもう一つの地域、南スラウェシ州ピンラン県のエビ生産者たちがシドアルジョの事例に刺激を受けて、自分たちの地域が抱えるゴミ問題を同じように解決していきたい、ぜひAPLAにも協力してほしい、という熱い思いを表明したのは、2019年半ば、新型コロナウイルス感染症パンデミック以前のことでした。それに対して、ATINAとKOINは、これまでのシドアルジョでの経験を元にピンランのエビ生産者による地域環境整備活動を全面的にサポートすることを決定しました。

そして2020年9月、ピンランのエビ生産者や地元出身の学生たちによって「KONTINU(Komunitas Pemerhati Udang Windu Indonesia/インドネシア・ブラックタイガーに関心のある者たちのコミュニティ)」というNGOが正式に設立しました。コロナ禍で海外からの渡航はもちろん、インドネシア国内の移動も制限されるなか、ATINAやKOIN、APLAが協力し、オンライン会議ツールを駆使してサポートをすることで実現した新たなスタートです。

ピンラン県のエコシュリンプ生産地は、海側に位置する5つの郡にまたがっています。活動1年目の2020年度は、その中で最も人口が多いランリサン郡(6村・合計4408世帯)の中でも、KONTINUの拠点でもあるランリサン村(1005世帯)において、家庭ゴミの回収プログラムをスタートさせるべく、KONTINUのメンバーたちは、コロナ禍にも負けず、地道に活動を展開しました。

具体的には、地域住民に対する説明会の開催と住民組織の形成、コンクリート製のゴミ箱の制作と村内への配置、ゴミ回収車(3輪オートバイを改造したもの)の調達、ゴミ回収人のリクルートと教育活動といった準備を経て、2021年6月からランリサン村での家庭ゴミの回収活動がスタートしました。選別したプラスチックや瓶缶類は業者に売却し、有機ゴミからは液肥をつくって地域住民に配布をしているとのことです。​

 

日々のゴミ回収活動と並行して、郡や県行政への働きかけや住民を巻き込んでの海岸のゴミ清掃活動なども不定期で実施しています。

 

上段左からKOINヘンドラさん、ATINAハリーさん、 下段左からKONTINUシャリフディンさんとメンバーたち、APLA事務局野川

10月1日には、オンラインでミーティングを実施し、KONTINUの代表シャリフディンさんやメンバーの皆さんから活動報告を受けました。家庭ゴミの回収活動を開始してから4か月ほどですが、すでに村の住民たちの意識が大きく変わってきていることを嬉しそうに話してくれました。目下の悩みは、道路脇に設置したゴミ箱にヤギなどの動物が乗ってゴミをあさり、ゴミ箱が壊れてしまうケースが何件か発生していること、だそうです。対策として、住民とのコミュニケーションをさらに密にし、ゴミを出すのは回収直前の朝の時間帯だけに限定するのはどうか?というアドバイスをしています。

活動2年目は、別の村でも同様の活動に着手し、その成果を郡や県に積極的に働きかけていきたいとのこと。プラスチックゴミについては世界的な問題となっていますが、日本の私たちも引き続き共に考え、行動していきたいと思います。

注:エコシュリンプの製造・輸出を担うオルター・トレード・インドネシア社のスタッフとエビ養殖農民が東ジャワ州シドアルジョ県で立ち上げたNGO

報告:野川未央(のがわ・みお/APLA事務局)

※ランリサン村での活動は、パルシステム生活協同組合連合会 地域づくり基金りそなアジア・オセアニア財団 環境助成、ならびに支援者の皆さんからの寄付金で実施しています。