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手わたしバナナくらぶニュース

225号(2014年7月+8月)【コラム】小商い開店中(7)segodon

本屋さん?フェアトレードショップ?
雑居ビルの2階、こちらの看板が目印

雑居ビルの2階、こちらの看板が目印

かつて、海運業の街として栄えた面影を残す神戸の栄町には、レトロな雑居ビルが立ち並んでいて、カフェ、セレクトショップ、アトリエなどが集まるお洒落なエリアとして人気を集めています。そうしたビルの一室に、フェアトレードの食品や雑貨、本を扱うお店 segodon(セゴドン)があります。
segodonというお店の名前は、店主の塚原さんが大好きな西郷隆盛の愛称「西郷どん(せごどん)」からもらったそうです。鹿児島とご縁があるのかと思いきや、神戸生まれの神戸育ち。歴史小説が大好きで、事務職から一転、2009年に小さな本屋さんをオープンしました。

店主の塚原さん&ウーパーぼうや

店主の塚原さん&ウーパーぼうや

開店準備をしている時に、書籍以外のものも取り扱った方がいいというアドバイスを知人から受けたこともあり、元々興味があった環境問題を入り口に出会ったフェアトレードのものを扱うようになったそうです。最初は、自分が好きな雑貨から取り入れはじめ、その後、食品のラインナップも増やしていきました。また、看板娘ならぬ看板ムスコとして活躍している「ウーパーぼうや」のグッズも大人気だそう。バングラデシュ産のフェアトレードの葉書に、ウーパーぼうやのイラストと絶妙なメッセージが手描きでほどこされたポストカードや、プラバン(注)をつかって手作りされた携帯ストラップなど、ゆるキャラ好きにはたまらない可愛らしさです。

フェアトレードを広げるために
マスコバド黒みつにも手描きのPOPが

マスコバド黒みつにも手描きのPOPが

「小難しい・堅苦しいと捉えられがちなフェアトレード、まずは楽しい・美味しいということを知ってもらうことからではないか」と塚原さん。フェアトレードやオーガニックなど、こだわりの食品は、必ず自分で試してから、自信を持っておすすめできるものをお店に並べているとのこと。一つひとつの商品につけられている手描きのPOPからも、その想いが伝わってきます。
毎日の生活で何気なく使うものから取り入れることを提案している塚原さんの一押しがマスコバド糖と聞いて、とてもうれしくなりました(リップサービスかもしれませんが)。毎日必ず飲むコーヒーに入れるのはもちろん、神戸や淡路島の郷土料理・いかなごの釘煮にもぴったり、と帰り際にはお手製の釘煮をお土産に持たせてくださいました。

塚原さんのセレクト本コーナー

塚原さんのセレクト本コーナー

一人でお店を運営していくのは、大変なことも多いはずです。ましてや、本が売れにくいこのご時世。それでも、開店当初からの常連さんのためにも、想いを込めた選書を続けている様子が伝わってきました。本に限らず、お客さんのために選んだものを気に入ってもらえた時、「また来ます」と声をかけてもらった時が何よりうれしいという塚原さん。神戸におでかけの際には、ぜひ足を運んでみてくださいね。野川未央(のがわ・みお/APLA)

注:プラスチック板に絵を描いてオーブントースターなどで加工・固定化する、1980年代~1990年代前半にかけて小学生の間で流行った遊び。(Wikipedeiaより)

segodon
兵庫県神戸市中央区栄町通3-1-12 伊藤ビル202
TEL/FAX:078-977-7623 定休日:水曜
http://sbsegodon.ocnk.net/

みなさんは「小商い」という言葉を聞いたことがありますか?『小商いのすすめ』(2012年、ミシマ社)の著者である平川克美さんは「自分の手の届く距離、目で見える範囲、体温で感じる圏域でビジネスをしていくこと」だと説明しています。グローバル化によって、一握りの大企業が世の中を席巻する昨今、私たちの身の回りには、誰がどこでどのように作ったかが見えにくいモノがあふれてきています。その裏では、環境破壊や資源を巡る争い、遺伝子組み換え作物の急増も。この事態を変えていく鍵が「小商い」にあるかも…!と考え、その実践者にお話を聞きます。