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2018年2月足を運び、じっくり対話して、これからの民衆交易を共に考える

フィリピンのネグロス島には、カネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)という約5.5haに広がる農場があります。KF-RCは、農場であると同時に、地域の若者たちを受け入れる農業の実践・研修学校でもあります。毎年若者たちを研修生として受け入れ、次世代の教育、農を軸にした地域の発展を目指しています。

KF-RCの研修生には、マスコバド糖・バランゴンバナナ生産者も

研修生を募集する際には、マスコバド糖の原料用サトウキビやバランゴンバナナの生産者の地域や組合にも声をかけています。KF-RCとAPLAは、約半年間の研修が完了して終わりではなく、卒業後に彼らが自営していくうえで孤立し、農業を断念しないように、寄り添いながらサポートしていくことを大切しているので、定期的に地域を訪問しています。

ナス1株を囲み、それぞれの経験や疑問など約30分も議論した

木陰でじっくり対話を

 

2018年2月、パンダノンにいる第4期研修生のマイケルくんを訪問しました。彼は豚や有機野菜も育てていますが、サトウキビとバランゴンバナナの生産者でもあります。今回は、マスコバド糖の製造やバランゴンバナナの集荷や輸出など、フィリピンで民衆交易を担っているオルタートレード・フィリピン社(ATPI)のヒルダさん、生産地の社会開発を担っているオルタートレード財団(ATPF)のノルマさん、アリエルさんと共に訪問し、卒業生とだけではなく、家族ともじっくり対話をしながら、親の思いや今後の取り組みについて共有してきました。

現地で民衆交易を担う会社も若手スタッフの育成

マイケルくん家族と訪問したスタッフで記念写真

民衆交易を担っているATPIやATPFですが、事務所での業務がほとんどであるスタッフにとっては、産地を訪問できる機会が少ないのが現状です。今回の訪問を機に、今後は産地訪問の機会をさらに増やして、生産者と交流する時間を多く作っていくことを改めて確認しました。

最後にノルマさんは、「今の若者はとても静か。ソトを見ないし、人と話をあまりしない。それでは地域を理解することはできません。産地に行ったときは、もちろん仕事の話も大切ですが、その後にひとりの人として、心と心で会話をする時間も必要です。そのバランスが重要で、デスクに座っているだけでは民衆交易は理解できない」と私たちに伝えてくれました。

訪問時に聴くことのできた卒業生のお父さんの素敵なお話は次回!

報告:寺田俊(てらだ・しゅん/APLA事務局)